茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(566)いろいろばっかり

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(566)いろいろばっかり
加藤匡通
二月×日(土)
 養生は続いている。たまーに運搬に戻ると翌日は腕が痛かったりする。そうでなくとも毎日ガムテを切ったり貼ったりしていて両手ともに親指の付け根と言うか手の平のど真ん中が痛い。まずいなあ。
 設備のV社の仕事をしていた時、昼食は外に出られるのなら店に入っていたし、それが無理ならコンビニ弁当だった。しかし今、コンビニ弁当の、なんだかんだで千円かかる金銭的負担がきつくて、スーパーで前日に買うようになった。五時を過ぎると弁当総菜の値引きが始まるので、それを買っている。目安は三百円、百八円の食パン(煩悩に合わせた金額設定なのか?)と揚げ物が一番多い取り合わせだが、別にサンドイッチをその場で作るのが楽しい訳ではない。安くて腹にたまるような気がする取り合わせということだ。
 秋から冬にかけて同居している母が入院したりいろいろあって完全に自転車操業に戻った。あ、いや、Ⅴ社の仕事がなくなった夏から自転車操業か。これもまた、このスリルがたまらないとかそういうことではない。毎日いろいろな支払いを溜まった順にこなしていくと、まあ見事に毎日入ってくる給料が残らない。これはかなり精神衛生に悪い。僕は江戸っ子にはなれない、と言うかならなくていい。
 今日も『ファースト・カウ』を見てどよーんとしてから溜まった支払いをして、所持金を確認して、さて明日はどう動こうと考えて更にどよーんとしてしまった。この時期はほぼ一日おきに灯油も買わねばならない。スタンドによって違うとは言え、二千円近いのだ。更に二千円減るか、置きビラどうしよう。
 一人親方労災保険の更新案内が届いた。一年前はいろいろあって(今日の日記はいろいろばっかりだな)更新は出来たものの、ヒヤヒヤした。日記は書いたけど差し障りがありそうだったので表には出してない。Ⅴ社の仕事はなさそうだし更新の必要はないだろう。
 念のため、一応Ⅴ社の事務方に確認してみた。「労災保険の更新案内が来たんですが。」「ほっといて大丈夫です。」ほっとかれてるのは僕も一緒である。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(565)年明け早々に振られる

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(565)年明け早々に振られる

加藤匡通

一月×日(土)

 世間がクリスマスで浮かれている頃に社長から電話があった。夏まで仕事に行っていた設備のV社の社長からだ。「来月九日から仕事あるんだけど。五月まで。」

 金額を考えると行きたいんだが、前回のこともあるし即答は避けた。一ヶ月のはずが十日しかなかったからな。あの時は日払いから移行するために借金までしたが、その後いろいろあって二十日出れない月が続き、返済はまだ終わっていないのだ(お前の金銭管理がなってないからだ、と本当のことを言うのは控えること。)。何より今入ってる現場をそう簡単に抜けられる、というか抜けていいものか。

 職長に相談し、どうにかなりそうだと思えたので社長に「行く。」と伝えた。給料が入るのは働き出してから二週間後。それまでは手持ちの現金でどうにかしなければ。四日分くらいは残せるか?

 吊り足場の養生は続いている。僕が抜けたらもっと仕切れる人を入れるようだ。うん、その方がいい。僕がやると、「これじゃ駄目だ。」と指導するよりも頭を抱えながら駄目直しに回っちゃうからな。

 年内の仕事がそろそろ終わりのある朝、五時に社長から電話が来た。今通っている現場は少し近いのでまだ寝てた。「今日忘年会なんだけど来れる?」行くかよ!社長は朝三時に起きると以前聞いてはいた。V社の仕事の時にはこの時間には起きてたし、僕から社長に電話もしてた。しかし今あんたんとこ行ってないぞ!

 年が明け、吊り足場が始まった。僕が外れる前提でもう動いている。

 火曜からのはずだがV社からまだ連絡は来ない。事務方に電話した。「九日から仕事って聞いてるんですが。」「え!あの仕事なくなったんですよ。」がーん!一昨年倒れて、日常生活や電話に問題がない程度に回復してはいるが認知機能に問題があるらしく、仕事がなくなったと伝えてもわかっていないらしい。忘年会の電話の時には仕事はなくなっていたんだとか。それは、もう経営は出来ないと言うことでは。

 いやもうどう言えばいいのか。大変ですね社長。僕も大変ですけど(こういう物言いにワタクシの徳の低さが表れているのであります。)。つーか、ダラム助けて。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(564)「温度変化に注意して体調管理に気を付けましょう」

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(564)「温度変化に注意して体調管理に気を付けましょう」
加藤匡通
十二月××日(水)
 最近よく携帯に「あなたのことが気になっている人がいます」とかってメールが来る。女性ってことになってるけど、公安だよね?僕のことを気にしてる女性がいるとは最早全く思えない。そのくらいの自覚はある。それにしても、わざわざ教えてくれるとは親切な携帯だこと。
 工場が年末年始の長期休暇に入った。十六日間と聞いているが、工場の労働者に日雇はいないのか?月の半分も休みで耐えられるとは思えないんだが。工場が社員労働者だけで廻せるとも思えないし、どうなってんだろ。
 休暇に入ったのは工場であって、改修工事の方はまだ動いている。僕たちが休みに入るのはもう少し後だ。こっちには日雇派遣だの日雇がうようよしているので、そんなに長く休まれたことだ。
 養生している場所はとても暑くて作業をしていると汗ばむほどだった。下では機械が動いてるし、ダクトによっては触れないくらいの熱を持つ。だから暑い。なので外は寒くなっているにも関わらずズボン下を穿いかずにいた。作業中は暑くなって上着を脱ぐくらいだから、ズボン下なんか穿いてられない。ダクトがあったり天井が低ければ腹這いになってテープを貼ったりしているが、体の下の足場板が熱いこともある。長時間留まれば低温火傷をするような温度だ。
 しかし長期休暇ともなれば機械も止まる。当然場内は暖まらない。休みに入った初日は風邪引くかと思ったよ。そんな日に限ってコンビニで無料だからと大きめペットボトルの冷たいコーヒーをもらって来てる。暑いんだから冷たくても大丈夫と思った訳だが、なんとも間の悪いことで。
 朝礼で「温度変化に注意して体調管理に気を付けましょう」とはよく言われるが、出来るか!
 工場は本来二十四時間稼働らしく、午後になると遅く出勤してくる者向けにラジオ体操が流れる。これまではそれが時計代わりになっていたが、誰もいない工場に流れるラジオ体操には怪談の趣がある。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)養生が追いかけてくる

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)養生が追いかけてくる
加藤匡通
十二月××日(水)
 日雇の工場改修の現場は続いている。このまま居着くような気もする。それはそれでいいか。
 撤去材の搬出から養生に作業が変わった。稼働中の工場の改修なので養生するところはいくらでもある。でもそれ養生屋の仕事じゃないの?僕たちは運搬がメインじゃないの
?新規で運搬工って書いたじゃん!
 この現場にはちゃんと養生屋が入っている。以前日雇派遣で何度となく入っていたI社だ。パトロールで来たI社の人間を見た時にはびっくりした。十年近く前に通っていた大きな現場の職長だったからだ。あの頃はまだ三十代の前半で細身だったがすっかり恰幅がよくなってた。もちろん向こうは気づかない。三十人以上をまとめていて、本人は現場に出ずに管理をしていたが、あれはI社の出世コースだったんだな。
 やるのはI社と同じ、吊り足場の養生である。天井からチェーンで足場を吊って組んであって、その上に防炎シートを敷いていく作業だ。足場の下には機械が並んでいる。もちろん何も落とせない。I社は四人しかいなくてとても追いつかないので僕たちにも養生が回ってきた。僕たちは応援だ。
 足場が組まれているといっても、この足場は穴だらけ、ダクトや何やが顔を出している。さらに段差が頻繁にあったりする。これを養生?これはかなり難易度が高いのでは。
 しかも養生班の頭に回された。常時五人程度だが、養生経験者はほぼいない。一番経験があるのが僕だったのだ。てか、経験ないしでいきなりこの養生は無理だろ。
 始めてわかった。やっぱり無理だった。いくら言ってもテープを防炎シートに密着させることすら出来ない。「加藤さんは作業しないで見て回って指導すればいいから。」と職長は言うが、僕も作業しなきゃ全然進まないし、手直しを始めたらきりがない。I社の養生とは雲泥の差だ。
 養生が嫌で逃げてきたのにな。I社の本体はもちろん、日雇派遣の時の養生屋も、僕が養生班の頭と聞いたら笑うだろう。
 と、言う話を買い物に行った先でしたら、「加藤さん養生に好かれているのでは?」と言われた。がーん。ま、まさかそんな。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)がんばる理由

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)がんばる理由
加藤匡通
十一月××日(火)
 先日、朝、作業が始まり撤去材の運搬をしていた。撤去材の運搬はバケツリレーのように手渡しで行われている。五、六人の時もあれば十五、六人の時もある。人数が少ないと撤去材を持って歩かないとならないが、多ければ多いほど歩かずに済むようになり、最終的には一歩も歩かずに撤去材が流れていくようになる。一旦リレーが始まると「ストップ!」とか声を上げないと流れは止まらない。
 AIが仕事を奪うとか、自宅でリモートとかどこの話なんだろうって感じだ。リモートでバケツリレー出来るんならやってみせろよ。人の手がかからずに終わる労働なんてあんのか?
 バケツリレーの最中に携帯が鳴った。最近作業中にかかって来る電話はほぼ職長からだ。しかし今出るのもためらわれる。電話に出たらバケツリレーは止まる。解体屋が撤去材を生産している真最中なので、搬出が止まると撤去材が溜まってしまう。僕が電話の間だけバケツリレーから抜ければ流れは止まらないが、一人一人の負担は増える。
 バケツリレーが一旦終わってから電話を返した。やっぱり職長からだ。「加藤さん今どこ?今日来てる?」「来てますよ!運搬してますよ。」「朝礼の時いた?」「隣にいたじゃないですか!」「気配消さないでよ-。」全く気がつかなかったらしい。
 朝礼で気づかないと言うことは、サボってどこかに隠れててもわからないと言うことでは?いてもいなくてもわからないのなら、現場に行かなくともいたことに出来るのでは?はっ!この技術を洗練すれば、働かなくても金が入ってくるようになるのでは!よし、明日からがんばるぞ!

コロナ状況下で働く人の権利 学習会・相談会

コロナ状況下で働く人の権利 学習会・相談会
12月17日(日) 13時30分~16時30分 
常総生涯学習センター 創作室1常総市天満町4684 関東鉄道常総線水海道駅徒歩九分)
13時30分~ コロナ状況下で働く人の権利 学習会 
講師 加藤匡通(茨城不安定労働組合 執行委員長)
14時30分~ コロナ状況下で働く人の権利 相談会 
参加費無料
主催 茨城不安定労働組合     連絡先 090-8441-1457(加藤)       ibarakifuantei@gmeil.com   

学習会と相談会の二本立! 
生活やお仕事、職場で困っていることありませんか?
・生活費が底を尽きそう ・寮や社宅、アパートから追い出されそう ・仕事をクビにされた ・出勤シフトを減らされた ・給料が下がった ・残業代が出ない ・休みが取れない ・職場でいじめにあっている ・自分に使える制度があれば知りたい など。               仕事をしている人もしていない人も、一緒に解決の一歩探します。
私たち茨城不安定労働組合は一人でも、誰でも入れる労働組合です。労働組合は経済的なセーフティーネット、労働・生活問題の駆け込み寺と考えて活動しています。
当日は、コロナ状況下で私たちが知るべき労働者の権利や制度的なことなどの学習会もやります。相談のみ、学習会のみの参加でも大丈夫です。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(562)リテールステーション?

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(562)リテールステーション?
加藤匡通
十一月×日(火)
 相変わらずクレジットカードは持っていないが普通の銀行のカードは持っている。設備のV社は振込だったし、日雇派遣の会社も、設備部門に移動したら事務所での手渡しから振込に変わった。だから銀行のカードはよく使っていたし、ATMもよく使っている。最近は公共料金の支払いも口座引き落としが主流になり、とうとう携帯電話の支払いもそちらに移行させられ、口座にいくらかは金を残しておく状態になっている。
 当然銀行に行く機会は増える。金を下ろすのは近所のスーパーカスミのATMなら手数料を取られない。しかし支払いは窓口でないと駄目なこともあって、ちゃんと店舗に行かないといけない。
 銀行の統合は僕が子どもの頃から続いていて、さすがに大手の都市銀行はもう落ち着いているものの、地方銀行は僕が茨城に来てからでもまだ揺れていた。筑波銀行と名乗っている銀行は僕が茨城に来てから茨城銀行関東つくば銀行が合併して出来たが、この合併話は一度御破算になってる。僕が持っている筑波銀行のカードはまだ茨城銀行のままだ。
 合併するとどうなるかと言えば、単純に言うと同じ地域で店舗が倍になる。もちろんこれは単純過ぎる言い方だが、店舗が多いことに変わりはない。で、地域の店舗が整理されていくことになる。
 茨城に来て最初に住んでいた事務所兼住居(説明が面倒なのでこのブログの最初の頃のものを適当に読むこと。)から一番近かった茨城銀行板橋支店は窓口がなくなってATMだけになり、その台数も減っていき、ついには消滅した。今でも建物はあるが、多分何にも使われていない。
 三軒茶屋太陽神戸三井銀行なぞ(この名前での記憶が一番古い。その前なんだったっけ?)りそな銀行になって、やがて銀行がいなくなり建物は丸ごとカラオケ屋に転用されてまだ残ってる。高速道路の隣だからと夜中でも改築工事ではつりっててびっくりしたが、、これはどうでもいい話。
 残った店舗が営業を続けているかというと、これが怪しい。常陽銀行ではリテールステーションと言うのが増えている。資産運用に特化したとか言う、窓口業務を大幅に減らした店舗だ。窓口で支払いをしようと見かけた銀行に飛び込むとかなりの割でリテールステーションだったりして、別の店舗を探す破目になる。現場作業員に資産なんかない。本は資産か?いや、御免被る。
 最近はなんでもネットで済ませるようになってるから、人員削減にもなって銀行はウハウハだろうが、リテールステーションしかなくなった地域など住人にとってはたまったものではない。資産運用なんて縁のない人間はどうすればいいよ?僕は相変わらず置いてけ堀のままだ。