茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

東京新聞『個々の力では活動に限界』 支援の輪、連帯が課題

東京新聞 2009年2月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20090205/CK2009020502000107.html

 「活動がうまくいくように、皆さんのご協力をお願いしたい」

 一月二十五日午後、つくば市の吾妻公民館の一室。「茨城不安定労働組合」準備会が初めて企画した「派遣切り」問題の勉強会で、準備会発起人の加藤匡通さん(40)が、問題に関心を寄せる学生や議員、労組組合員ら出席者約二十人に連携を呼び掛けた。

 準備会は加藤さんら県南に住む二十−四十代の男性四人が昨年十二月に結成した。不安定な立場にある非正規労働者らを支援するのが目的だ。

 現在は、かすみがうら市の自宅兼事務所で廃棄物処理会社を経営する加藤さんだが、東京に住んでいた二十代、三十代のころは日雇い労働者だった。建設現場で働き、「日払い」で生計を立ててきた。その傍ら、行き場を失った路上生活者らに炊き出しをするボランティア活動にも携わった。「いつ自分が炊き出しをされる側に回るか。人ごとではなかった」。こうした経験が労組の結成を思い立たせた。

 勉強会には、年末年始に東京で「年越し派遣村」を開いた「派遣ユニオン」(東京)の関根秀一郎書記長を講師に招いた。関根書記長は「就労と生活の問題をセットで解決しないと、失業者の自立につながらない」と説き、支援する側がネットワーク化する大切さを訴えた。

 非正規労働者の問題を解決するには、就労や生活支援など個別の対応では十分でなく、総合的に対応するため労組や民間非営利団体NPO)、個人などの連携が必要となる。
■組合発足計画も…

 準備会も他のグループと連携する考えはあるが、今は暗中模索が続く。春には組合を発足させる計画だが、人脈がなく、人材と活動拠点の確保にめどは立っていない。「茨城は東京と比べ、失業者が実家などのよりどころがあると考えられているのか、支援の動きがあまり見えてこない」と加藤さんは嘆く。

 だが、製造業に派遣された多くの人たちの契約が一斉に期限切れを迎える「二〇〇九年問題」で三月以降に全国で多くの失業者が出ると懸念されており、県内でも支援態勢のネットワーク化が急がれる。

 県内に連携の“芽”がないわけではない。

 非正規労働者らが個人加盟できる労組「茨城ユニオン」(土浦市)は一月二十三日、派遣切りや雇い止めの緊急電話相談会を開いた。午前十時から午後五時まで、電話二台を用意して待った。だが、電話が鳴ったのは一回。内容も今回の対象外だった。
■新団体誕生に期待

 中村正書記長(60)は「個々の力ではPRや活動に限界がある」と連携の必要性を実感する。「これまで県内で私たちと同じような活動をする団体はなかったと思う。(新たな団体が生まれて)全体として連帯できれば大きな力になる」と強調した。