茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

生活保護を受給できても…

県西地区のある市に住むT組合員から支援の要請があり、生活保護等の申請を行いました。このTさんも、一昨年まで製造業派遣のT社で働いていました。
詳細な経緯は省きますが、知人の家に転がり込んではや1週間。住むところも仕事も見つけられず、手持ち金も底をついてしまいました。やむなく市役所に生活保護申請に行くと、すんなりと手続きはできそうな話に。ところが、この市でも住所を失った人を一時保護するような施設は全くありません。担当者は「無料低額宿泊所(有名なSが県内にもある!)に行ってもらうしかない」と言うのですが、Tさんは実は以前、生活保護受給時に無料定額宿泊所に入所した経験があって、朝夕2食と部屋代、管理費を支払うと手元には2、3万円しか残らず、就職活動もままならないという経験をしていて「それでは自立につながらないのでは?」と言うと市の担当者も認めます。
あくまでも「市としては部屋のあっせんは一切やっていない」「部屋の確保は自分でやってもらう」との建前ですが、(たぶん職員の方の好意で)生活保護で入居した人の実績があるアパートを教えてもらい、交渉してみることにしました。
車で数分の不動産業者に行くと、担当者は親切に対応してくれました。間取りは1Kで、生活保護の家賃補助の範囲で借りられる物件です。しかし、大家は「保証会社に加入してほしい」と条件をつけているので、Tさんの友人を連絡先として保証会社に申請しました。
この日は、市役所に戻って生活保護の申請準備。「部屋が決まってから」と担当者は言いますが、一刻も早く申請して部屋を移らなければならないので、とりあえず書類の作成と聞き取りだけでも先にやってもらいます。この日の手続きはここまでで、後はアパートが契約できれば生活保護の申請と社会福祉協議会の貸付を後日するだけとなりました。
ところが、翌日Tさんより電話があり、保証会社の審査に落ちたというのです。不動産業者にも確認しましたが、理由を開示しないとのこと。仕方なく、無理言ってTさんの友人に連帯保証人をお願いすることにしたのですが、結局大家は保証会社でなければ契約しないと言い始めました。もしかすると2月から始まった賃貸保証のデータベース機関LICC(リック)にTさんのかつての滞納情報などが登録されているのかも知れません。
最終的には、このアパートをあきらめ、Tさんの友人の知り合いの大家さんに頼みこんで、生活保護基準よりかなり高いアパートをどうにか契約することができました。
しかし、いくら生活保護でお金が出る仕組みがあっても、アパートが契約できなければ、いつまでたっても自立はままなりません。不動産業者によれば、生活保護受給者が増加して、家賃滞納のケースも増えているので、大家が生保受給者に貸したがらないのかも知れない、という話もあります。
公共住宅のお寒い状況(生存のための生活保護申請 - 茨城不安定労働組合)を考えると民間アパートを探すしかないのが実情ですが、生活保護を取る人は連帯保証人を立てられない場合が多く、保証会社も通らないとなると、ほとんどお手上げです。NPOもやいは茨城では遠くて利用できません。
本当に住宅支援の貧困さを感じます。(キ)