茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(14)

                   加藤匡通

二月××日(日)詰所があるのはいいこと

 二月は結局三日、雨やら雪やらで流れ、現場には二十日出ていない。これではたまらないので予定の入らなかった日曜に派遣会社に連絡して仕事を入れた。
 平日朝の電車は運がよければ座れる程度だが日曜早朝はガラガラ。大きい荷物を気にする必要もない。
 今日の現場は都心のビル改修工事。養生・クリーニングのF社。ここは以前、内装解体の仕事でよく入った。石膏ボードの壁をばんばん壊す楽しい仕事だったな、全身真っ白だったけど。F社本体は日曜で休み、派遣だけ出て資材移動と詰所移転にともなう掃除が主。会社から聞いた時ははつりとか言ってた気もしたが、違ったらしい。打合せにない資材移動がいくつもあって、ここ数日この現場に通っているもう一人の派遣はだいぶカリカリしてた。スポットで入ったようなものなので僕は全く気にしていないんだけど、突然言われた足場材移動で鳶に怒鳴られりゃ、そりゃ頭に来るわな。どうして鳶ってあんなに偉そうなんだろう。
 詰所移転は二階から三階への移動で直前まで三階ではボード屋が作業していて、ボードくずや軽天が散らかっている。ボード屋が片付け始める前から掃除を始めて机、椅子を運び上げたら二階の掃除。これは左官屋の床補修が入るので濡らしたおがくずまいて、ちりやほこりを取るために丁寧にする。こんな風にたいていの現場は工期が押し迫ってくる程に各業者が入り乱れ、お互いの仕事がぶつかるようになってくる。
 このビルが建ったのはだいぶ前らしい。壁や天井のコン打の跡を見ると、今のような合板の一抱えもあるコンパネで組んだ型枠ではなく、抜き板で組んであるのがわかる。今でも左官屋はじめ各職で使ってりやつだ。でも今わざわざ抜き板で型枠を組むことはない。圧倒的にコンパネ使った方が楽だからだ。具体的にいつ頃まで抜き板で型枠を組んでいたのか僕は知らないが、改修工事に入ってもめったに見るもんではない。小田急の駅で見たかなあ。現場では東京オリンピックの頃なんて話も出ていたが真偽は不明。
 雨だったので詰所があって助かる。屋根も壁も重要だよ、やっぱり。