茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(358)コンパネ撤去、但し頭上

加藤匡通
十二月××日(月)
 マンション改修工事に呼ばれている。こういう改修はたいていの場合再塗装で今回もそうだった。会社からは三日間、初日はコンパネの撤去、二日目はコンパネの敷き直しと言われていたので床に敷き詰めたコンパネを動かすのだろうと思っていた。派遣会社からは僕一人だ、そんなに大変なこともないだろう。現場は八時四十五分から朝礼と言うし必要な装備はヘルメットとハサミ・カッター程度なので荷物も少なく随分ラクだ。
  朝は僕を入れて五人だけ、もう最終段階に入っているので朝礼もなかった。監督に仕事を聞くと確かにコンパネ撤去だった。マンションの中庭に屋根がかけられていて作業場として使われている。もちろんこの場合の作業場はマンションに入っている会社のものだ。屋根は軽天材で出来ていて本来は波板で覆われているが今はコンパネでふさがれている。軽天材も塗装するのでコンパネを外してくれ、と。高さは三メートルまではなさそうだ。梯子をかけて一枚だけビス止めしていない、ただ乗せているだけのところを開けて仮の屋根の上に出てみる。梯子をかけるのもコンパネを乗せただけなのも大手のゼネコンではあり得ない。事故につながる危険作業と見なされるのだ。そんなことがOKなのだから当然屋根の上に墜落防止の設備などなかった。「安全帯持ってきてないんですけど?」「かけるとこないからいらないです。」「わかりました。」とお約束のやりとりをしてコンパネの上に上がる。軽天材があるところとないところではコンパネのたわみ具合が全然違う。つかまるところもない。多分抜けることはないとは思うが、怖いわこれ。インパクトを使ってビスを抜き、剝がしたコンパネは下で馬に乗っている監督に渡していくと屋根が骨だけになっていく。端からコンパネを剥がし、後ずさりしながらやればコンパネの上を歩いていられる。たまに必要があって軽天材の上を歩くと、当然真下がよく見える。作業自体はあっという間に出来るんだが、しくじったらどうすんのかね、この会社は?
  明日はこれをビス止めすんのか。そっちの方がはるかに時間かかりそうだな。しかも今度は順番的に軽天材の上を歩き続けることになる。笑うしかないね。鳶なんて僕には無理!
  高いところに上ったので一応変身ポーズはとってみた。これもお約束だからね。もちろん一号ライダーだ。