茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(57)『十兵衛暗殺剣』(題名と本文は関係ありません)

十月××日(月)

            加藤匡通

 元請主催の研修で普段は来ることのない都内北部に来ている。このあたりは九十年代のサラリーマン時代に来たきり、日雇派遣で来たことは一度もないと思う。現場がないわけがないと思うが、なんでだろう。
 会場は区立施設、集合は九時なので朝はいつもより遅くで楽。その分電車は混んでいた。満員電車に乗ることは今やほぼなく、久しぶりだが本も読めない電車なんて僕には存在理由の半分がないようなものだ。
 案内には九時開始とあったがこういう会場は九時に開館なので九時開始は無理。会館前には作業服のおっさんたちが百人以上たむろす状態となり、まるで寄せ場である。本人たちは寄せ場日雇労働者と自分たちは違うと強く意識しているが端から見ればそんなに大きな違いはない。なぜ彼らが差別と言っていいほどに違いを意識するのか僕には分からない。
 研修は半日で終わり午後は現場なしで日当は半分。夜に都内で用事があり、それまで時間があったので近衛十四郎の特集上映を見に行く。