茨城不安定労働組合

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日雇い派遣日記(59)落ち着くのはドヤ、しかし泊まるのはカプセルホテル

十月××日(日)

             加藤匡通

 一時期外泊する機会が減っていたが、最近また増えてきた。宿をどうしているのかというと、もっぱらカプセルホテルである。ネットカフェは確かに安い。都内への往復の交通費より安いこともあるかもしれないが、天井には明かりが灯り、隣とは間仕切り一枚気配筒抜け、体を横にして伸ばせるかは部屋の空き具合次第、こんな環境でゆっくり眠ることは僕には出来ない。マンガ読み放題インターネットし放題なんかいらんわ、わしゃ寝たいんじゃ!(ネットカフェですらこうなのだから路上となると毛布一枚なんかじゃとても眠れない。初めて路上に出て数日は一睡も出来なかったという話はよく耳にした。)
 とは言ってもカプセルホテルがゆっくり眠れる快適な空間なのかと言えばそんなはずもない。カプセルホテルのカプセルとは要は間仕切りされた多少頑丈な多段ベッド、隣の音が丸聞こえなのはネットカフェと変わりない。ネットカフェに比べりゃまだ個室感は少し高いが、人一人が横になったり上半身起こしたり出来る程度の空間しかないからその分圧迫感も高い。カプセルの出入口がカーテン一枚なのもネットカフェと大差ない。酒でも飲んでりゃあっさり眠れるんだろうが、慣れるまではなかなか眠れなかった。どちらも落ち着ける場所ではないよ。落ち着けるのはむしろ二畳や三畳のドヤだったりする。ふつうのホテルや旅館なんかは僕には場違いなところとしか思えなくて落ち着けないのは、安アパート暮らしが長かったからだろう。宿の趣味も階級によって規定されるんだな。
 よく使っているのは歌舞伎町のカプセルホテルだが、以前は一泊三千円だったと思う。深夜二時以降がタイムサービスで二千五百円だったはずだ。遅くなるまで待ってた覚えがあるからな。しかし現在何時からでも二千五百円、不況が終わるまでこの価格だと入口に出ている。カプセルホテルを利用する階層を、不況は直撃したらしい。利用者は主に酔客と野宿者だが、当然ダメージは後者に大きい。価格が下がること自体はありがたいことだが・・・うーん、最近同じことばかり繰り返しているな。