茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(83)泥入れと上乗り

二月××日(金)

            加藤匡通

 一日泥入れ。
 昨日は整地して要らない土を手掘りでダンプに乗せ、それを低いところに一輪車で入れていた。ダンプの上に乗ってスコップで泥を一輪車に入れるのが後半の役割だったが、いやきついきつい。
 それに比べて今日は泥は捨て場から持ってきているし、ダンプの上に乗るのを極力減らしているのでかなり楽だ。泥そのものは昨日より今日の方が悪い。昨日は花壇で使うような黒土、というかまさしく花壇を掘り返していたんだが、今日のはガラや粘土混じり。建設現場から出た土の捨て場に行くと無料で土をもらえるが、質は選べない。今日の土はそれである。スコップも刺さりづらいし重い。それでも上乗りせずスコップで取りやすいように後ろの土だけ先に下ろし隙間を作って泥がこぼれないようにしてからアオリを下げ、ダンプの後ろからの作業で間に合うようにして手が届かなくなったらダンプアップで泥を後ろに回し、の繰り返しで昨日よりはるかに楽だ。段取り大事だよ。
ダンプの上でスコップ使ってたら日雇派遣の時のダンプの上乗りを思い出した。地下に構造物がある規模のコンクリートの建物の解体につきものの作業である。解体したあとは基本的には埋め戻す。その上で改めて穴を掘ったりして工事が始まる。埋め戻す分の泥以外はいらない訳で、この時出るのが残土、まさしく今日入れているような土である。たいていガラか土のどちらかで出される。ガラで出す時はスケルトンと呼ばれる大きく穴の空いたバケットですくい取って振るいガラだけを残すからあまり問題はないが、土の時はよくいろんな物が混ざってしまう。あんまり露骨に混ざっていると捨て場からクレームが来る。捨てる物によって金額が違うからだ。で、土として捨てる場合、ダンプの表面に出てしまったガラだの鉄筋だのゴミだのをダンプに乗ってはじく作業が必要になる。これがダンプの上乗りである。四トン以上の大きさのダンプですることが多く、荷台への登り降りも手間だし荷台の上は凸凹で足場も悪い。おまけにまともな元請けだと墜落事故防止のために安全帯使用を義務付けるので動きづらい。
 安全帯は腰に着けるベルトでロープとフックがついていて、作業時はフックを引っ掛けて万一落ちても宙ぶらりんで地面に叩きつけられないようにする、文字通り命綱ではあるがダンプのどこに掛ければ落下防止になんだよ?つまりこの場合形式を整えてるだけだ。
 丁寧にはじいてりゃ遅いと怒鳴られ、かといって残り物があればやっぱり怒鳴られる。目の前でユンボが泥を入れ、それをはじくのだから危険作業でもある。夏場はへとへとになるし、あまりみんながやりたがる作業ではなかった。