茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(215)単管担ぎでくたびれる

加藤匡通
六月×日(水)
都内南部、またY社で来たあたりのような気がするな。今日の現場は派遣会社が一次で入っているが、少なくとも今日の作業に関しては型枠大工の下請けである。ビルは地上二階の部分がこれから建ち上がるところ、型枠大工が組み上がった鉄筋に型枠を組んでいる真っ最中だ。僕たちの仕事はコン打ちがとうに済んで型枠をばらした後の一階に散らばった単管パイプの集積である。ある程度集まったら型枠大工が待機しているクレーンで二階に吊り上げ、今組んでいる型枠の押さえとして使うのだ。単管パイプは工事現場にはありふれた物だ。多分一般的に鉄パイプと言って思い浮かぶ物だと思う。短い分には握って振り回すのに手頃な代物だが、長いと結構な重さになる。三十初めの頃までは四メーターを何本担げるか、なんてとても迷惑な競争をしていたが、もうそんな体力はない。
大工の指示で八十センチを五十本、一・五を五十本、三メーターを百本と言った具合に集めていく。クレーンで吊れるよう収める枠があり、うまく収めれば数えなくても百本は作れるようになっている。単管は五十センチから三・五メーターまで。たいていの現場は四メーターか四・五メーターまであるものだが、この現場には三・五メーターまでしかない。ある程度貯めては枠へ手渡しで入れていく。流れ作業は一人でやるよりスピードが上がる。なぜか僕が最後の枠に入れる役となり、煽られる。単管担ぎは前回日雇派遣をしていた四年前でもほとんどしていないから久しぶり、もうこの季節ではきついなあ。この数ヶ月ラクをしていたからなおさら、現場で汗だくになるのも久しぶりだ。おまけに派遣されている三人の中で最年長で、大丈夫ですかと何度も声を掛けられる。熱中症で倒れられちゃかなわないから、作業員の健康状態を気遣うのはただしい。けど、そんなに辛そうに見えますか?悔しいなあ。…辛いけどな…
終わったら両腕の内側が赤くなっていた。長い単管は当然一本ずつ手で掴んで受け取っていたが、短い単管何本かまとめては両腕で抱えるようにして受け取っていたからだ。これもしばらくやってれば慣れてこんなに赤くはならなくなる。
東京へ日雇いとして通うのもあと数日(また通う可能性はあるものの)。明日の現場では何をするのやら。