茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(日給月給日記への変更検討中)(219)酒瓶を割る仕事

加藤匡通
八月××日(水)
瓶の回収は一名がトラックの荷台に乗ったままで行われる。この時期の荷台の上は暑くてかなわないってのはこの前書いた。回収用のカゴはプラスチックで、都内では折り畳み式の物だったがこちらでは折り畳まない、ただのカゴだ。ゴミの集積所に青のカゴには無色の瓶、茶色のカゴには茶色の瓶、緑のカゴには緑ないしその他の色の瓶を入れて出されたものを自治体から委託された回収業者が回って回収する。荷台の一名は回収箇所を回って次々に増えていくカゴを整理する役である。回収して荷台に乗せるのは運転手の役割だ。カゴの瓶はたいていは色ごとに分別されているので、少なければカゴごと多いカゴにひっくり返して、積み重ねるのに邪魔にならない程度まで瓶を入れていく。この時瓶は割れる。それどころか茶色の一升瓶などスペースを取るのでわざわざ割る。みんなそのために特別な対策をしている訳ではない。(最初に「割れ」と言われた時は耳を疑った。僕が入ったことのある建設現場では何の装備もなく、しかも半袖でガラスを割るなぞ有り得ないことだったからだ。)空き箱は三色一組で一セットにして三セットまで積み上げる。これらを走行中のトラックの荷台で行う。下手に積めばカゴは倒れてくるし、カゴへの入れ方をしくじれば瓶は荷台から道路へと転げ落ちる。慣れた人はすごいスピードで作業をするが、僕は周りの景色を見ているゆとりなどない。つまり荷台にいると瓶回収のコースを覚えられないのだ。まずいなあ。
瓶を回収した初日に、ちと頭を抱えた。茶色の瓶は圧倒的にドリンク剤の小瓶である。では他の瓶は何の瓶が多いかと言えば、そう、酒瓶だ。作業を始めるまで気にもしていなかったが、この仕事は酒瓶を大量に扱う仕事だったのだ!中を洗うのが本来の決まりだがもちろん洗ってある方が少ない。中には中味が満タンのままの、栓を開けてない瓶まであって(たいていワイン)、いや実に悩ましい。酒の匂いがぷんぷん、アルコール依存症にいいわけがない。
と、動揺したのは最初だけだった。もはや飲み会に行っても絡まれない限り酒のことは気にならなくなっている。まあ、この程度なら問題ない(そうやって油断していると大変なことになるから近づかないに越したことはないのだ。間違って口にしたら一週間で酒がなくては何も出来ない、酒があっても何も出来ないあの状態に戻れるだろう。)。
ちなみに瓶は回収したその日のうちに公の処理場と言うかこの場合中間処理場?に運ばれる。公営だとカゴ単位で取り扱うが、民間の処理場だとむき出しで取り扱われる。そこではシャベルカーが瓶を土砂のように扱っていて、ガラス瓶は潰れて茶色や緑の砂と化している。ガラス地獄だぞ。転んだりしたら血だらけだ。