茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(372)出でよヤメタランス!

加藤匡通
四月××日(水)

電気屋の手元は続いている。なし崩しで三時の休憩がなくなったり五時になってから「今日残業できますか」と言ってきたりと相変わらず振り回されている。三人いる番頭が互いの仕事を把握していない上に番頭を経由しない搬入まであったりする。そりゃスケジュールなんて立たないよな。
  僕たち派遣会社は基本的には資材搬入のために呼ばれているとのことなので、他の作業中でも休憩に入っていても搬入があると呼び出される。搬入する資材は照明機材やコンセント、スイッチと言った小さい物やぶっとい電線の巻かれたドラムだのその電線を通すラックだので、こちらは大きくて重い。特に大きなドラムは本体は木製の車輪だが電線が巻かれている状態だと二百キロを越え、転がすのはともかく向きをかえるのは一苦労だ。まだまだ電工の様には扱えない。こいつらを大雑把に階数ごとに台車に乗せ、ロングスパンエレベーターで番頭の指示した階に運ぶのが僕の仕事である。搬入は毎日十二時四十五分に定期便があり、他に一日何便かある。番頭が把握しているのは半分から八割で、一日一便以上番頭の把握していない資材が届く。台車は各階に資材ごと置きっ放しなので毎日午前中に僕が回収して廻っている。番頭たちの段取りが悪いので搬入はスムーズには進まず、三時の休憩はよく流れる。エレベーターのオペレーターは振り回されている僕を見ており、番頭より僕と段取りを話している。その方が早いからだ。派遣会社から電気屋には、あらかじめ忙しいとわかっている場合は二人入っているが、基本は僕一人が行っている。番頭が把握してなかったが忙しい場合、僕がひいひい言うことになる。最近、番頭に面と向かって「どうしてこんなんで一人なんだよ!」と毒づけるようになったが、そんなの嬉しいはずもない。頼むから段取り考えてくれ。て言うか、そんなこと雑工にまで言われてどうするよ?
  派遣会社が社会保険加入を進めて1ヶ月経ち、給料日だか払い戻し日だかを迎えた。今までは全額日払いが可能だったが、社会保険加入と同時に形の上では月払いに移行、日払いは前借りの名目で一日七千円が払われる形になった。僕はこれまでは交通費の払い戻し(千円までは自己負担なのでそれを越えた分)を含めて一日一万円強を受け取っていたが、それが七千円である。この差額の三千円強から社会保険を引いたものが払い戻される日をやっと迎えた訳だ。期待しないようにしないようにと思っていたので予想より多い金額ではあったが、公共料金の支払いであっと言う間に全てなくなってしまった。
  社会保険料を払っている分給料は下がっているので全額日払い時代より手取は減っている。何度も言ってきたけど、今回本格的に首廻んないよ。本屋で気になる本を見つけても買えなくなったし、今月は二本しか映画を見ていない。建設業界の社保加入は個人消費の増加どころか抑制する働きが強そうだ。同僚たちも飲みに行く回数を減らしたとか言ってる。もっとも、日本国政府は建設や土木の下層労働者なんて生かさず殺さず、個人消費をする存在だなんて思っていないんだろうが。
戻ってきた金が多かった理由は働いた日数が普段より多かったからでもある。この一ト月で二十五日働いている。いつもなら二十ニ、三日だ。以前は二十日を割ることもあったが、風邪で寝込んだり仲間が逮捕されたりしない限りそんなこともなくなった(仲間が逮捕されたら一日も早く取り返すための救援をしなければならない。真面目に運動していれば弾圧はあって当たり前だし仲間を救援するのも当たり前である。逮捕された側を非難したり目の前で起きている弾圧を無視する運動なんて最低だと思う。)。とにかく金がないのでシャカリキになって出たのだ。なんとか最低週五日、出来れば六日目指して平日に用事で休めば日曜に出ていた。その結果の二十五日である。サラリーマン時代だってこんなに出たことはなかったんじゃないか?僕はこの日記でも常々書いているように食うために仕方なく賃労働しているのであって、働くのは嫌なのだ。それが二十五日も働いてしまうとは、恐るべし社会保険
かくなる上は、出でよヤメタランス、戦え小山内美江子!勤労を美徳とするこの社会を、資本主義をぶっ壊せ!