茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(258)手摺カバーを付けたり外したり

加藤匡通
五月××日(金)
  半年の固定現場が終わり、日雇派遣らしく日替わりで現場を転々する日々が戻ってきた。
   住みながらリフォームしてる家の養生クリーニングに行ったり、大学の耐震改修工事に行ったりしている。後者は屋内で穴掘りをして、さらにそのあと底のコンクリ部分に残った土を丁寧に取って水洗いしてスポンジで吹き上げると言う穴掘り水替えの大変充実した一日を過ごした。
   今週月火と同じ元請、派遣先が続いた。派遣先は養生クリーニングのN社だがその上は塗装屋で僕に指示をするのは形の上では塗装屋のはずだが実際はゼネコンの監督だった。違法かもしれないが特に珍しいことではない。
   またマンションの改修工事だ。最近よく続く。月曜の仕事は居住者のベランダに入って、手摺の柱の根元に被せてあったプラスチックカバーの取り付けだった。マンション住まいの人は自分とこのベランダの手摺を見てみるといい。手摺の根元を覆っているカバーがそれだ。今回の柱は四角なのでカバーもそれに合わせた形になっている。柱が丸けりゃカバーも丸い。手摺は腰位までの高さの壁の上に立ち上がっている。その壁を塗装し直したり、柱の根元にシールを打ち直したりするのにカバーを外し、作業が終わったので戻すと。まず、カバーをきれいにしてくれと言われたので、バケツで洗った。長いこと野ざらしだったから汚れているのだ。洗うだけじゃ汚れは落ちないのでウエスで拭かなきゃならないが、これがその日の予定分だけで二百個近くあって相当な手間、一時間なんか軽く越す。監督は大丈夫かって顔してるけど、やってみりゃわかるが大変だぞ、これ。カバーは半分に分かれているのをドライバーでビス止めする。最初のうちは手摺も軽く拭いてくれと言われたが、途中から間に合わないならビス止めだけでいいと変更になった。足場から一つのベランダに入って五、六カ所ビスを止めて出て、隣のベランダに入って、の繰り返し。なんとか言われた量をこなそうと休憩を各十分ずつ短縮までしたが、それでも三十分残業になった。休憩削った三十分はサービス残業になる。残業を受ける前、なんとか時間内で終わらせようとやってた分だ。三時過ぎに監督からカバーの色を合わせてくれと言われたが、そんなことしてたら何時になっても終わらないので無視。日焼けによる色落ちなどでカバーは一つ一つ色が違う。なるべく色を合わせて欲しいのはわかるが、今更言うな。こっちもなるべく早く帰りたいんだよ。
  火曜は全く違う場所だがゼネコンも派遣先も一緒、指示を出す監督まで同じ人間で、朝事務所に行って顔見て驚きながら昨日はどうもと挨拶したが、こんなのは珍しい。作業は月曜の逆で今度は手摺カバーの取り外し。柱の真ん前にガラスが入っていたりして、ドライバーが入らない、入っても手を回せない、てのが多くて火曜の方がはるかにやりにくい。月曜は一人だったが火曜は二人手配されているのも、こっちの作業の方が手間だと見越しているからだ。こうしてカバーを外していろんなところを補修して、また誰かが付けに来るんだな。N社の上の塗装屋の番頭が来ていたので手が入らないところ用のドライバーだの必要な道具の手配を頼んだ。番頭の方も僕が来ることを前提に話をしている。明日は現場の都合で僕らは明けになるが、二、三日したらまた呼ぶと言われもした。同じ人間が作業を継続した方がいいに決まってる。
  ところが、細かい打ち合わせまでしたのに、僕らは一向に呼ばれず、それどころか僕はこの三日間クリーニング現場に固定になっている。相手の会社も労働者もその気になっているのに派遣会社が現場を変えてしまうのも、これまたよくあることだ。