茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(288)

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(288)断熱材敷き込み、その後デモ
加藤匡通
十一月××日(日)
繁華街にある事務所の改修に来ている。妙な造りの建物だと思ったが、もとは小学校だったらしい。金曜に面接で休んだので日曜だが出ることにした。今週は六日出たい。ライダーも戦隊もプリキュアもなしだ。
  養生・クリーニングの社の仕事でN社の職人一人に派遣会社の僕から一人、片付け清掃と聞いていたが、朝イチで監督に言われたのは着替えに使った部屋の床のワックス掛けだった。前日にその部屋の大部分はワックスをかけてある。残りは入り口付近の三メートル四方だけなので掃除機かけてすぐにワックスもかける。全面にかけると部屋に誰も出入り出来なくなるので、一番端に人一人が通れる分だけ塗らずに残しておいた。先に塗った分が乾いたら次に塗り残した分を塗って終了。荷物を動かし始めてから乾かし終わるまで一時間かかっていない。その後は待機。今日のメインは床の掃除機掛けだがその部屋はまだ作業中で掃除機が入れないのだ。小さな部屋なので掛け始めたら一時間で終わりそうだ。今日はラクな現場か。これは早上がりか、と期待する。午前中は掃除機掛けを含めてもう一時間動いたら昼休みになった。、
  午後、出来るところだけまず掃除機掛けをして、残りは他職が作業を終えてからなのでじゃあまたしばらく待機、と思ったら監督が全く別件の仕事を言い出した。壁への断熱材入れである。倉庫はともかく、僕たちが住んだり働いたりする建物の壁にはたいていガラス繊維の断熱材が入っている。これはこの前の耐火被覆で使っていたものとは別の物で薄いマットの様になっていで、丸めた状態で梱包されている。それを躯体や間仕切りのボードに貼り付けたり挟んだりしてあって、今回は躯体に組んである軽天の中に入れ込んでいく形だった。監督は部屋の一面全部を指している。え、これ全部に入れるの!てっきり隙間か何かの小さなスペースに断熱材を入れるだけだと思っていたので絶句した。N社の職人は別の作業をしているので僕一人の作業である。断熱材に限らずガラス繊維を詰めたりしたことは何度もあるが、それは隙間に詰める程度の話でこんな壁一面なんて始めてだ。これは雑工の仕事じゃない、丸々本職の仕事じゃないか。まあ、やってみたら案外簡単で、一面全部でも三十分ほどで終わったけどな。N社の職人も監督から聞いた時には本職の仕事だと呆れたらしい。
予定の掃除機掛けは全て終わって少し早めに現場は終わり、その後すぐ近くで行われたデモに参加した。人がいる街中のデモは楽しいなあ。茨城でやると人いないから。このデモは反富裕を掲げていたのでネットで叩かれたと主催者が言っていたが、みんな金持ちになる夢は傷つけられたくないと見える。僕には全く楽しい夢とは思えない。前にロト7のコマーシャルで柳葉敏郎妻夫木聡に「お前の夢は金で買えるのか?」って問い質してたけど、その問いは、コマーシャルの落ちがどうであろうとも、正しい。反貧困より反富裕に圧倒的に反発が強いのは反富裕の方が資本主義の本質を撃っているからだ。つまり誰も異論を唱えない反貧困は、しかしぬるいのだ。
今日のデモは現場の前を通りはしなかったが、自分が入っている現場の前をデモで通ったことは何度かある。基本的には現場が休みの時に前を通っているので現場の人間とその場で顔を合わせたことはない。(以前結構激しい攻防のあった運動の現場で、当時入っていたゼネコン現場の監督と顔を合わせてしまったことがあるが、この話は別の機会にしよう。)