茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(335)ローリングタワーの荷揚げ

加藤匡通
二月××日(水)
  スーパーゼネコンに派遣会社が一次で入っている改修現場で架設材の搬入をしている。正しく言えば荷揚げだろう。四階建ての屋上にローリングタワー二機分を階段で運んでいるからだ。ローリングタワーは足下に車が付いていて割りと簡単に移動が出来る足場である。押したり引いたり動かすのでそんなに大きくないし重い物でもない(デモにこれを持って来て山車よろしく引っ張っているのを見たことがある。その気になれば回転させることも出来る代物なので交差点に入る度にこいつがぐるぐる廻り、警察の指揮者が激怒していて笑った。)。今、「そんなに重い物でもない」と書いたが、それは比較的、と言うことであって、階段を五階分も昇れば何だって重くなるに決まってる。肩に担いだ架設材は食い込んで痛いし、周囲にぶつけない様にしなきゃならないので気も使う。ローリングタワー二機なんて本来大した分量じゃないのだ。だけどそれを階段で揚げるとなると大した分量になってしまう。それに今の僕にはそもそも何度も階段を昇ること自体が体への大きな負担のようだ。脚は張る息は上がる、もう歳なんだよ。初めの数回は屋上まで上げてすぐ次にかかれたが、すぐに屋上に下ろしたら一息つくようになり、その時間がどんどん伸びていく。今日の相方は二十代前半、体力はあるはずだが僕にあわせて、と言うよりは端から真面目に荷揚げをする気がなくて「荷揚げ屋にやらせろよな。」と言いながら屋上に上がる度にスマホをいじっている。終わり仕舞いじゃないからしゃかりきにやってローリングタワーを早く上げ切っても次の作業があるだけ、やる気にならないのはわかる。何か言いたいような気もするが、彼が本気で動いたら多分僕が倒れてしまうからやめといた。
 三時前に荷揚げは終わり、あとは簡単な資材整理を言われた。幸い身体はまだどこも痛くない。痛いのは明日かな。頼むから四十七歳にこんなことさせないでくれ。