茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(325)「会社に日払いの連絡をするのを忘れてしまいまして、大変申し訳ないのですが」

加藤匡通
十月××日(火)
   新築の商業ビルにクリーニングに来ている。R社の仕事でR社本体が数名、下請けとして派遣会社がニ社入っていて計十五、六名。工事は最終段階に入っているので当然僕たちの仕事はクリーニングである。
  小一時間かかった新規入場者教育はパソコンを使って行われた。監督が現場での注意事項などを読み上げながら行うのが一般的だが作業員が千人を越えるような大きな現場だとビデオやDVDを使って行われていた。当然業者に発注していてナレーターを使ったそれなりの出来映えのものを流してた。が、今ではパソコンから映像が流れて来る。監督自作の手作り感溢れる画面、と言うより現場内にある物や書類をそのまま映した上に監督の棒読みの声が被る(あ、ここで言ってる監督ってゼネコンの社員のことだから。映像制作の責任者じゃないから!)。完成度はビデオやDVDだった頃とは比較にならないが、安上がりであることだけは間違いない。
  新規のあとに何をやらされるのかとびくびくしていたら掃除機がけと言われて一安心。で、一日階段のタイルカーペットに掃除機をかけ続けた。掃除機をかけている最中にも人は荷物を持ったままバンバン通り、電源コードを盛り替えに掃除の終わった上の階に行くともう細かなゴミが散らかっている。なんだよ知らねえよと毒づいて無視する。かなり追われての作業だったのでくたびれた。
  三時の休憩時に派遣会社に今日の日当の受け取りの電話を入れ忘れていたと気付いたが、もう間に合わない。僕の登録している派遣会社は月火水金土と給料の受け取りが出来て、事務所での受け取りか銀行振込みを選べる。支払い希望当日の昼十一時までに電話かメールで連絡するようになっているが、大抵は朝の到着確認時に「今日取りに行くから」とか一言付け加えている。今回はそもそも朝の電話を忘れている。新人には口うるさく電話をよこせ、ないしメールしろと言うものの長くいる者には何も言わなくなる。それが裏目に出たな。会社に「明日の交通費がない」と切ない告白をしたのだが「もう銀行に行ってるから無理です。何とかしてください。」と電話を切られてしまった。交通費、本当にないんだよ。仕方ない、同僚から金を借りよう。