茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(369)携帯電話は必要ですか

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(369)携帯電話は必要ですか
加藤匡通
四月×日(火)
まだ電気屋の手元に入っている。このままだと工事終了まで引っ張られそうだ。駄目な番頭に振り回されるのかと思うと全く嬉しくない。
昨日のこと。翌日、つまり今日の電気屋の手元が増員され、僕を入れて三人になった。派遣会社から、一人は以前に手元に入っているが一人は新規だと言われた。携帯電話を持っていないと言う。あれ?○○さんて携帯持ってたよね?と思ったが、まあいいか。待ち合い場所も間違えようがないだろうし。
ところが派遣会社の手配を確認したあとに電気屋の番頭から電話がかかってきた。「明日の人なんですけど、携帯電話持ってないって聞いたんですが、大丈夫でしょうか?」「はい?」思わず聞き返した。「いえ、携帯持ってないと待ち合わせとか中に入ってからとか大丈夫かなと。」不安だから携帯電話を持っている者と代えて欲しいと言いたいらしい。「大丈夫ですから。」馬鹿らしくなって電話を切った。あんた携帯がないと何もできないのかよ。携帯電話がなかった頃は社会が成り立たなかったとでも思っているのか?人類史は携帯電話が出来てから始まったとでも?待ち合わせだって問題なく出来ていたし現場の中でも多少の不便はあっても仕事も出来ていた。当たり前だ。「携帯電話がなかった頃を覚えてねーのかよ。」と呟いてから、本当にその頃を知らないのだと気付いた。番頭は三十代半ば、多分高校生くらいから携帯を使っている。それじゃ携帯電話のない状態なんて想像出来ないわ。
今朝、駅で新規の人とも合流出来、現場に向かっていると、また別の電気屋の番頭から電話がかかってきた。「今日の新規の人、携帯持ってないって聞いたんですけど、大丈夫ですか?」どいつもこいつも。「もう合流して向かってます。」あんたら電話使って電気工事してんのか!この番頭は二十代前半、生まれた時から携帯がある世代だ。それはますます想像出来ないわ。
とは言っても僕も他人のことは言えない。以前なら電車の中だろがどこだろうが五分に満たない時間でも空きが出来れば本を開いていた。それが今ではそんな時間のほとんどが携帯に費やされている。携帯電話を持たずにいたいが、もう無理だろう。全く我ながら腹立たしい。