茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(376)『スウィングしなけりゃ意味がない』

加藤匡通
六月××日(木)
  朝四時半に起きて五時半に家を出るまでNHKのニュースをつけていたが、国会に動きはなかった。十時前には携帯のニュースに共謀罪成立と流れていた。
  もちろん現場じゃ誰も気にしちゃいない。
  しばらく前に『スウィングしなけりゃ意味がない』を読んだ。反ナチ抵抗運動と言うとこの国では軍部のヒトラー暗殺計画と白バラばかりが有名だが実は多様な、と言えるほどに反ナチ抵抗運動はいろいろとあって、この本はその中のスウィングボーイズ、あるいはスウィングユーゲントと呼ばれた反ナチ抵抗グループの話を日本人作家が小説にしたものだ。今、反ナチ抵抗グループと書いたが、彼らが自身の振る舞いを抵抗と考えていたかは疑わしい。ジャズに熱狂していた彼らにとってジャズを禁止したナチスはどうしようもなくダサくてカッコ悪いもので、馬鹿にして嘲笑う対象だったが抵抗の対象ではなかったのではないかと思う。ナチスの側も政治的な運動とは見ておらず取り締まるべき対象ではあっても敵とまでは考えていなかったようだ。彼らの、好きなものを好きと言うための戦いが、ナチスすら絡め取ったハンブルクと言う都市の特殊性も相まって実に興味深く面白い。同時代の日本では、好きなものを好きと言うための戦いは完全に負けていた。そんな戦いが成立していたかも疑わしい、と言ったら厳しすぎるかね。
   何十年か後、同じことを誰かに言われないことを願うよ。法律がどうなろうがやることに変わりはないけどな。法律が認めるから、許すから行動をするんじゃない。