茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(392)女子大で見悶える

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(392)女子大で見悶える
加藤匡通
十二月×日(水)
  たまに女子大の改修工事に入ることがある。女子大だからと言って楽しくなんかない。女子大生を眺める余裕もなく様々な作業に忙殺されるのが常だ。と言うより、じろじろ見てれば多分現場事務所にクレームが入るし、そもそも女子大生への関心なぞこちらには最早オルグ対象として抱いていない。今の二十歳の女の子と共通の話題なんかありゃしないよ。そりゃ目の前で僕に微笑みかけでもしてくれりゃ嬉しいだろうがそんなものは妄想の中にしかなく、多分肉体労働者なんて風景としか認識されてない。僕としては女子大生なんかより学内の本屋と図書館に入りたくて仕方ないんだが、学内施設は当然にも立ち入り禁止なのだった。こういう工事で出入りしている業者に学内施設利用の制限を設けていない大学は極めて少ない。ああ、見たことのない専門書がたくさんあるのに。大学の紀要をめくるだけでも楽しいだろうになあ。
  今日の現場も女子大で、前に来た時は長期休暇中だったので誰も歩いていなかったが今日は学生だらけだ。校舎の改修工事だが、もう終わりで最後の片付けに呼ばれている。派遣会社はゼネコンに一次で入っていて、職長はずっと同じ人がやっている。ちなみに職長は以前近江俊郎と形容した人物である。
 現場の最終片付けと聞いていたので早上がりを期待していた。現に職長も午後になったら「ここをやったら終わりだから。」と言っている。鳶がばらした仮囲いのあった場所を掃除し、ごみを積み出し、まだ二時半だが言われた分はもう終わりだ。ゴミ車は事務所に向かっている。事務所前のゴミも乗せるらしい。「あっちは鳶さんたちがやるから俺たちはいいんだよ。」え?そうなの?この状況ならふつうは一緒に積み込んじゃうよな。事務所に戻ると鳶と監督は事務所裏の資材をゴミとして引っ張り出している。職長も手伝いだした。あれ、さっきの話は?ゴミが一段落したら今度は休憩しようと言う。この時点で僕は早上がりを諦めた。三時半になって職長は監督からいくつかの簡単な作業の指示をもらってきて、それらを済ませて終わりになった。四時を過ぎていた。
 早上がりと言われていたのに定時まで仕事をさせられると、まるで残業したような気分になると前に書いたと思う。まさにそれだった。職長、振り回すなよ!