茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(5)

                加藤匡通
一月×日(月) デフレ地獄

今日が仕事始め。実はこの二月程同じ会社の仕事に入り続けている。そこの仕事が休みの日だけほかの現場に入っている状態。続けて入っているのは外溝屋のG社というところで、今入っているのは二棟のアパート。外溝屋の受持は敷地内の住宅本体と周囲の道路を除いた、駐車場だの塀だのといったところ。庭や植木はまた別。僕はその手元として剣スコ(先のとがったスコップをこう呼ぶ。長方形の角ばったものは角スコ。どの業者でも共通の呼び名。)握って地面を掘り、ミキサーでモルタル(セメントと砂を混ぜたものがモルタル。これに砕石が入るとコンクリ。)を練り、ネコ(一輪車。初心者が「ネコ持って来い」と言われて猫を探すことは本当にあるそうである。)でブロックを運ぶ。

現場は千葉市内で電車は三回乗り換え。片道八十円安くするため三十分遠周りのコースにしている上に回数券を使っている。現場がいつまで続くか分からない、いつまでその現場の仕事に入っていられるか全く分からないことが圧倒的なので安いと分かっていても回数券は普段は使えない。今回はさらに回数券の一部区間みらい平駅近くに安売りの自販機を発見したのでこれも併用(店出すよりは安かろうが自販機で採算とれるのか?)。正規料金で片道千八十円。駅から現場まで五分。駅のすぐ近くに大学が二つもあるのに駅近辺に本屋は一軒しかない。どうなってるんだ?古本屋が一軒あってたまにのぞいている。文庫本一冊三十円まで暴落、これじゃやってけないだろうに。千円持ってって十数冊買って出てくるのだ。ブックオフなんか目じゃない。がんばれ町の古本屋!現場への道中見つけた古本屋に立ち寄るのは楽しみである。

現場の目の前に年末になって弁当屋が開店したが、弁当ひとつ三百円、丼物二百五十円、惣菜はすべて百円。丼と惣菜二品の計四百五十円で結構食べられる。店は店主一人で切り盛りしているようだがこれで本当に採算が合うのか(今回こればっかりだ)?この店が出来るまで駅前の松屋で三百二十円の牛丼並盛か百円高い大盛を食べてからマックでコーヒーというコースだったが、この店が出来てからは弁当を現場で食べてからマックへ行くパターンになった。むかしはマックライドとか言ってた気がするが、デフレは日雇いを直撃、マックに打撃を与えるどころではなくなってしまった。すまん同志!

ついでに言えば外溝屋が入る状態の現場はたいてい詰所は撤去されていて、この現場も詰所があったのは最初の一週間だけだった。昼の弁当は現場の片隅、吹きっさらしの中で食べている。日差しがあって暖かければその辺に段ボールを敷いて昼寝できるがたいがいマックに行っている。眠くなったらテーブルに突っ伏すのだ。・・・あまりいい光景ではないなあ。外溝屋の仕事は割りと気に入っているが詰所がないのはやっぱりつらい。職人たちは各自車で来ているので昼は車で眠っている。車中は日なたなら暑いくらいだ。うらやましい。