茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(15)

                加藤匡通

三月×日(金)日当半分、九時上がり

都心の高級住宅地に来ている。今月いっぱい続くらしいので回数券を買った。片道千三十円を回数券を使ってどうにか千円下回らせて日当実費八千円以上にしている。
現場は高級そうなアパート、しかし都心で繁華街もすぐ近くなので敷地は狭い。工期が迫っているのに内装も始まったばかり、どころか外部足場がまだ建ってる!こんな状態で外溝の何をしろと?それに今日足場バラシって言ってなかったっけ?と朝、現場を眺めながら考えていたら、足場材引揚げのトラックが次々に入ってくる。ビケ足場という割りと簡単に組んだりバラシたり出来るタイプの足場なので引揚げの車の運ちゃんたちがバラすらしい。いやいやそれにしてもこの狭い中で何をするんだ?足場材上から降って来んぞ(比喩ではない。足場バラシ時は他職の立入禁止 で鳶は足場材をバラした端から投げ落とすのだ。よく手元で入って走り回って足場材の集積やったよ。夏場にイケイケの鳶の手元につくと地獄だった。あいつら終わりじまいだから目茶苦茶飛ばすんだよ。)
G社の職人が到着、現場の状態を見てしばし協議ののち、本日の作業は中止となった。ありゃりゃ。天気は快晴、ここ数日雨模様で中止になったりしてたので実にもったいない。ちなみに日当は半分出ることになった。えーと実費三千・・・いやいや考えない考えない。
現場を出たのは九時を過ぎたばかりで、これで得をした気になってしまうのだから馬鹿である。日雇派遣でもまれにこういうことはあった。たいてい元請の発注ミスで、朝現場につくと「今日頼んでないよ」と言われ会社に電話、交通費+αをどうにかしてもらってた。もちろん日当の半分にもならない。
あんまり早かったので途中下車して守谷のシネコンで『ダークナイト』を見た。アナーキスト、ジョーカーの暴れっぷりを堪能する。