茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(16)

             加藤匡通

三月××日(金) 雨のブロック積み

二日続けて雨の中ブロックを積んでいる。工期がなくて雨でも作業をしないと間に合わないのだ。雨合羽着ての作業である。合羽は袖から水が入るし、脱ぎ着する時だって濡れる。それに合羽着てると汗が乾かず結局濡れる。雨で体を冷やさないために着てるって感じだ。まあ仕事があるだけまし、かなあ?
ブロック積みは、地面を掘って高さを出して整地、その上に砕石を敷いて転圧、その上に鉄骨組んでその周りを型枠で囲ってコン打、までが前段階。たいていここまでを積む前日にする。で、コンクリが固まった翌日に積み上げる。積みが始まると僕はモルタルをミキサーで練り、ブロックを運び、積み上ったブロックの穴にモルタルを充填する。積み上げそのものは本職の仕事、僕はモルタルを積む位置にうまく置いていくことすら満足に出来ない。職人からは怒られてばかり。
日雇派遣で長く過ごすとはそういうことだ。職人として通用する程の技術を身につけることのないままに現場を転々として歳月を重ねていく。現場経験は長いからそこそこ仕事は出来るものの、本工にはまるでかなわない。その分責任はなく気楽だけれども将来への展望なんてものはない。だから僕は四十一にもなって出来ないことばかりだ。そんなことを考えながら雨に打たれてブロック運んでたら財布までずぶ濡れ。弱り目にたたり目である。
まあ、これは手の遅い奴の言訳だな。日雇派遣から本工になった人もいるわけだから。・・・でも派遣会社からいつの間にかいなくなった人たちは本当に、どうしているんだろう?