茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(一人親方)(442)定期券

賃金奴隷な日々  日雇派遣日記(一人親方)(442)定期券
加藤匡通
七月××日(火)
    今回僕が以降したV社は交通費を出す。それも定期代として払う。僕は現場に行った初日に定期代を渡され、面食らった。日雇派遣ならあり得ない。仕事が長期であるから特定の誰かを同じ現場に入れようと会社側が考えても、次の日にその同じ作業員が来る保証なんてないからだ。当日欠勤があることをある程度当たり前と見なしているのが日雇派遣である。日雇派遣と限定せずとも建築業界のなかで定期代と言う形で交通費を出すのは特異ではないかと思う。
    僕の定期代は今回の現場まで、一ヶ月で五万千四百二十円だ。つくばエクスプレスがとにかく高くてみらい平から秋葉原まで一ヶ月三万三千二百七十円する。日雇派遣の時は少しでも交通費を安くあげるために回数券を買っていた。定期券はどうやっても買えなかった。同僚の中には長期の現場に入ると何とかして金を作って定期を買っている者もいたが、つくばエクスプレスだけで三万を越えては無理と言うものだ。
    定期券なんてサラリーマン時代以来、二十年以上持ったことがなかった。途中下車が出来るから古本屋巡りし放題と気付いたが、そんな金も時間もない。
    それでも毎日交通費の工面をしなくていいのは極めて大きい。一日に手取りで一万だろうが七千円だろうが、そこから翌日の交通費二千五百円を引いて幾ら残る?電気代やガス代を払えるか怪しい額しか残らないよ。一日の手取り分で三日分の交通費にならない場合も珍しくなかった。交通費の圧迫感は凄かったのだ。それが定期券を持つと、二週に一度の給料日が楽なこと楽なこと!公共料金全部払っても充分やっていけるんだよ!まったく夢のようだぜ!・・・いや、本当に一時の夢かもしれないから気を付けよう。いいことの後にはそれを補って余りある悪いことが待っている。