茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(189)

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(189)『ラスト・レター』
加藤匡通
十ニ月×日(月)
  家を出る前の五時台に政見放送をやっている。ゆっくり見る余裕はないが嫌でも何を言ってるか聞こえてしまい、朝から精神衛生によろしくない。しかも衆院選ならまだしも僕には投票権のない都知事選の政見放送だ。一体どうしろと。都民に天罰が下るのを見ていろと言うことか?
   鹿島在住の関沢紀の『鉄を喰う男たち』を読んでいたが本屋で『ラスト・レター』を発見したので乗り換える。他に来週の読書会のために重信メイ『「アラブの春」の正体』を再読、『戦時下抵抗の研究』の「個人キリスト者の抵抗」はレジュメを切らなきゃならないがすべて中断して読み始めた。
   初読時はリアルタイムで高校生、たまにぽつんぽつんと読み返してはいるがシリーズ四巻通読はその時以来だと思う。好きな女の子を追いかける高校生の楽しいどんちゃん騒ぎは若さや勢い、恋心では乗り越えることの出来ない現実を前に断ち切られる。当初の物語からは全く想像出来ない終わり方で大変衝撃的だった。あんまりと言えばあんまりな終わり方なのだ。しかしあのラストがあったからこそ長く多くの読者の胸に残ったのだろう。今回もラストにぶん殴られるだろう。
   フィクションの中で現実を突きつけられただけでいまだに衝撃が残っている訳で、これが『高校紛争』なんかを読んだ日には、高校生の時に何をしていたのかどころか今の自分が六十八年(僕が生まれた年だ。)の高校生に対抗出来るような何かを出来ているのかと言う気になる。