茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(192)猫糞

加藤匡通
十ニ月××日(火)
今日から新しい現場。年内の仕事はもう一週間を切っているからこの現場は年をまたぐ。僕にとってはY社最後の現場である。
まずは遣り方出してブロック基礎の手掘りから。しかし現場の住宅本体を取り囲む、これから外溝屋であるY社が掘ったりならしたりする土の上は猫糞だらけで閉口。一つ二つではなくそこら中に罠のように仕掛けられていて、臭いも強い。職人たちが到着するまでの最初の仕事は糞の片付けだな、と思ったがダンプが来なけりゃスコップもないから出来ないね。軍手で片付けるのは勘弁して欲しい。朝一に現場で顔を合わせた内装の職人は踏んづけたと嘆いていた。あれは嫌なもんだよね。幸い僕は被害にあっていない、と思う。普段は深目の穴を掘って埋めてしまうがそんなに広い家じゃなく、しかもこれから家の周囲をほぼ全面掘ることになるので埋めようがない。掘った土はダンプで捨て場へ持っていくので一緒にダンプに放り込むことにした。
現場の前は車がすれ違うことも出来ない狭い道で、ダンプに足場板かけて一輪車で掘った土を積み込もうにも車が来たらいちいち足場板外してあおりを上げて移動、積み込みなんて進みゃしない。最盛期には二分に一回動かしてた。もちろんそんなんじゃ比喩ではなくて本当に何も出来ない。当然とばっちりは僕に廻ってくる。あのー、ワタクシは今なんで怒鳴られたんでしょうか。
帰りに、『古本屋ツアー・イン・ジャパン』で近くに古本屋があると知り、足を延ばした。隣駅との間にあるらしい。脚の痛みをこらえて歩いたら、隣の駅まで出てしまった。見過ごしたのか?通り沿いにあると思ったんだが。大した距離ではないんだけど引き返す気にはなれず諦めた。
母がスーパー銭湯に行って来ると言うので、一人しか入らないのに風呂を入れるのもどうかと思い本当は銭湯にも入りたかったんだけど、調べたら残念ながら近くに銭湯はなかった。この辺りは見事にないが、みんなどうしているんだろう。近くても今の僕の脚だと二十分以上かかりそうな位置だ。これから銭湯に入るのは僕にとって大変贅沢な行為に戻る。でも年内、もう入れそうにないな。