茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(214)スタイロ取り付け

加藤匡通
六月×日(火)
ニ週近く通っていたピット内清掃には案の定戻れず、どころか昨日は仕事なし。あの現場に入っていれば昨日も仕事はあったんだろうと思う。仕事薄いのか?金曜の面接はその場で採用となり、月払いへ移行になるので大変だから一日でも多く出たいところなのに。
今日の元請けは初めて行く会社である。小さなゼネコンの一次で派遣会社が入っている。現場は小さなビルが建つらしいがまだ基礎のコンクリも打っていない。捨てコンの上に本格的なコン打ちのための鉄筋が組まれている。型枠は今日かららしいが、僕たちの仕事は型枠と周囲の土との隙間へのスタイロの打ちつけ。スタイロとは発泡スチロールのことでコンパネと同じサイズの千八百×九百で厚みが何種類かある。コンクリの基礎は工事が進行すればもちろん土中に埋められる。建設、建築工事はまず重機による地盤の掘削から始まる。一般住宅規模なら穴は深くないのですぐ捨てコンを打つが、ビルなんかだと掘削の前に掘削範囲にH鋼を打ち込んでから穴を掘り始める。で、掘ったところが崩れないよう矢板をH鋼の間に入れて土留めにする。今回の場合、この矢板とこれから組む型枠の間が三センチ以上欲しいとのこと。型枠の位置は捨てコンに墨が出ている。三センチ以下だと狭すぎてスタイロも挟めない。隙間が広いのもまずいので厚みの異なるスタイロを何枚か重ねて止めていく。
なんだ、こんなの簡単じゃんと始めたが、場所に合わせてスタイロを加工していかねばならない。やればやるほど切れっ端が出て、それをパズルのように組み合わせ、と面倒は増える。さらにスタイロは矢板にビス留めなので鉄筋の間にインパクトを突っ込んでの作業である。長袖着てても引っかけたりつついたりで腕は痛い、変なん姿勢になるので腰も痛い、膝も痛い。ずっと前に音楽スタジオ建設で防音のために矢板一面にスタイロを貼りまくったことはあるが、あん時ゃガムテ貼りだった。今回手間は倍ではきかないだろう。
  いつものように甘い見立ては外れ、どうにか終わったのは四時過ぎ。早上がりを期待しながら監督に報告すると「じゃあはつりがら片付けて」。ああ、時間目一杯働かされるのね。そうですか。