日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(501)国際交流に失敗
加藤匡通
六月×日(水)
型枠・鉄筋にスリーブ取り付けをすれば当然次にはコン打ちが待っている。
何度も書いているが躯体へのコンクリ打設での設備屋電気屋の役割は土工の合番、バイブレータのスイッチ係である。日雇派遣の時に設備屋としても電気屋としても合番はさんざんやったし土工としてコン打ちも日雇派遣でやってる。こう書いているとなんだかコンクリ打設の専門家みたいだな。わっはっは。全く専門家と名乗れないことは一ト月前の土工で再確認した。
先日、設備屋のV社に戻って最初のスイッチ係としてコン打ちに出た。床スリーブに穴が空いたのをガムテで誤魔化したりする他はスイッチ握ってるだけ。やっぱり合番の方が全然ラクだ。これで土工より設備の方が日当が高いなんてどうかしてる。
ポンプ屋が東南アジア系の外国人だった。ポンプ屋はベトナム人が多いので、そうだろうと思いながら聞いてみた。「どこから来たの?」「カンボジア。」まじか!カンボジア人と会話をするのは多分初めてだ。国内の政治状況とかいろいろ聞きたい、けどここじゃ聞けないなあ・・・かと言って、カンボジアのことを知っている訳でもなく、彼らも片言の日本語しかしゃべれない。会話らしい会話は出来ずにコン打ちは終了してしまった。・・・今、「彼らも片言の日本語しかしゃべれない」と書いたけど、受け入れている側が彼らの言葉を全く使えないってのもおかしな話だ。外国語の出来ない僕が偉そうに言えることではないんだが。
今日はなぜか応援でコン打ち合番に来ている。V社の仕事が少ないからこうなる。こうなると初めての現場で初めての職人と仕事をするので、日雇派遣とほとんどやってることは変わらない。
老人ホームの増築でまだ一階、大した量じゃない。なのに土工の人数が少なくて、電気屋共々結構動き回った。土工は土工で本体が来ておらず、応援だけでコン打ちをこなすことになって大わらわだ。電気屋はバイブの盛替えをしながら「こんなの電気屋の仕事じゃねえ。」とぶつぶつ言ってる。
十時なしで一時過ぎに打設は終了した。ちょっと頭が痛い。軽い熱中症だろう。半日上りは久しぶりだ。見逃した『ミナリ』でも見てくるか。