茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(277)フローリング剥がし再戦

加藤匡通
九月×日(月)
  七月に入った内装解体の現場に戻って来ている。前回「隣の部屋もやるかも知れない」と言われはしたものの、監督は盆明け頃には終わりと言っていたので今頃呼ばれるとは思っていなかった。行ってみると、その隣の部屋ともう一部屋のフローリング剥がしだったがどちらの部屋も壁際の床は剥がしてある。前回と同じ年長の相方に聞いたらニ週間前に三日入って壁際だけ剥がしたと言う。その頃は例の学校のトイレ改修に入っていたのだろう。
   先週の水曜にこの現場に戻って来て、会社からは週末までと言われたが監督は五日見ていると言う。前回床を全部剥がしてコンクリ剥き出しにした部屋も、前回取らなかった壁のスタイロ吹き付けまで剥がすので、その分まで入れた日数のようだ。…そんなにかかるか?水曜の朝はいくつか業者が入って賑やかだったもののニ時間もせずにみんないなくなってしまい、監督まで昼には出て行った。監督は一番長くいたのがこの日で後は朝鍵を開けたら三十分で他の現場に動いてしまい、現場には派遣会社の二人が残される。誰もいなくなってから相方(明らかに向こうの方が格が上なので「相方」でいいのか疑問だが。)に聞いた。「これ、五日かかりますか?」「まあ予定目一杯使ってゆっくりやろうよ」。と言うことで、日程を予定通りに消化すべく、ゆったりとした作業が始まった。初日はたっぷり休憩を取りながら一部屋のフローリングを剥がし、三時には終わり。二日目はスタイロを削り、スタイロくずだけでなく床を全面掃除機がけをして終わり、三日目は、まあ書かなくていいか。スタイロなんて、前にやったサッシの隣の狭い場所のケレンと違って壁一面の広い場所を、ケレン棒と言う一メートル弱の先に刃の着いた棒で両手を使い力をこめて削るのだから早い早い。厚みもこの前の半分以下だ。とにかく一日三時間動いていないくらいである。それでも五日かけるのは無理で、三日目金曜に相方に言われた。「加藤君、月曜で終わりだと思って。火曜まで引っ張れないや。」。ええ、もう無理でしょ。することなくなってるし。最後のゴミ出しだけ残して四日目の今日、月曜で終わった。近隣との関係で土曜は作業が出来ないから四日目は今日なのだ。ゴミ出しは一人でやっても三十分で終わりじゃないかって量である。監督一人だって問題はない。この仕事、本気でやれば二人でガラ出しまで含めても二日で終わっているだろう。監督もおかしなペースでやっているとは思っていたろうが、作業中にいないのだから強くも言えない。まあ、ゆっくりやって大丈夫な時はゆっくりやろうよ。
   職人も管理者目線、経営者目線でどうすれば効率よく早く仕事が出来るか考えて仕事をしろ、とはいろんな場所でよく言われる。そういう管理、経営側の発想を自らのものとして働いている作業員も多い。効率化を計らなければ会社そのものが生き残れないのだから作業員も頭を使え、と。でもさ、効率化って労働強化のことではなんじゃないの?技術を習得すること、作業上の創意工夫をして自分たちがやりやすいように仕事をすることと、経営側の言う効率化は別のことで、効率化は労働者を追い立て仕事を増やしていく。企業が大々的に取り組む効率化は合理化と呼ばれてかつては労働組合が対決すべき主要な課題だった。今や労働組合も資本の論理にすっかり取り込まれ、合理化と戦う力、どころか戦うことすら思いもよらない状況になっている。自分の首なんか絞めたかない、仕事はする者のペースでやらせろよ。
  しかしこの夏はラクし過ぎだな。