茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記改め日給月給日記(試用期間)(295)雨だから『ブラック・レイン』

加藤匡通
一月××日(木)
雨で仕事が流れた。先週木曜に続いて今月二回目。朝九時過ぎから一日雨の予報で、先週の例に倣うなら電話が来るだろうと、いつもならもう家を出る時間になっても着替えはしていたものの、まだ出ていなかった。電話が来た。朝刊を読み終えてから布団に戻った。二度寝はいいなあ。しかしこれで今月の出勤は十六日にほぼ確定したことになる。試用期間中八千五百円で十六日は痛い。
いくつかの作業をしてから『ブラック・レイン』を見に行った。高倉健の追悼上映らしい。公開当時は松田優作の追悼上映的なあつかいで、実際観客は松田優作を見に行ったはずだ。リアルタイムで高倉健の出演作を劇場で見たのはこれだけ(小学三年生で満員の劇場で座れずに途中退場した『八甲田山』は数えないでおこう。)、それどころか出演作で劇場で見たのは他には『緋牡丹博徒 花札勝負』だけ、つまり高倉健に関心はほぼなかった。映画館に足を運ぶようになった八十年代、高倉健は見る気にならない大作映画の主演俳優だったからだ。僕もご多分に漏れず松田優作を見に『ブラック・レイン』へ行った口である。公開以来二十五年振りに劇場で見て、絶頂期の日本経済を背景にした白人酋長物だと改めて気付いたとか、せっかく首を切ってるのに肝心のところが映ってないとかより、松田優作がわかりやすい記号的な危ないチンピラを演じていたことに衝撃を受けた。これが遺作だなんて、そりゃないだろ。あと、優作配下に国村隼がいるのに驚いた。初めて意識したのは『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』だったが、その前から見ていたのか。
  今の会社は土木関係だが十時三時の休憩もなければ昼休みも一時間ない。昼を食べるのはたいがい十二時を十五分は過ぎていて、仕事が再開されるのは一時より五分から十分前だ。元請けの監督が言うにはこの業界はどこもそうだ、と。昼がない会社も珍しくないのだそうだ。いや、休み時間がないとこんなに疲れるとは思わなかった。職人たちには何もしていない、何も出来ない新人さんのくせに何が疲れるだ、と言わるのだろうが。家に帰ってから本なんて読めやしない。この日記も打ち込む時間がなかなか取れずにいる。旛日は休みと求人誌にはあったが実際にはほぼ仕事だそうだ。休みはかなり融通がきくようだが、みんなが働いている中、仕事を一番覚えていない奴がバンバン休むのはためらわれる。と言いつつ既に僕が一番休みをとっている。勤務は七時半から十七時半まで、つまり時給にしたら八百五十円!