茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(一人親方)(441)社長!私の勤務時間は八時からであります!

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(一人親方)(441)社長!私の勤務時間は八時からであります!
加藤匡通
七月××日(金)
  最早日雇派遣を名乗れないような気が強くするが題名は当面このままにしておこうか。まだいつ日雇派遣に復帰するかわからないからな。
  一人親方とは要は自営業者のことだ。一人だけで動き、下に従業員を持たないのでこう呼ばれる。雇用保険には入れず、会社の社会保険ではなく国民健康保険に戻った(一人親方の入れる保険はあるがかなり高い。)。セネコンの建築現場では特定の会社の下に入って○○社として働くことが多い。当たり前だ。自営業者を個別で雇うゼネコンなんてない。建前上はゼネコンの監督から直接作業内容を指示されることになっているが、僕のような独立した職人=親方とはとても言えない者も多い。だから制度上は自営業者だが実態は労働者に近い。
  何をしているのかと言うと、今の現場はホテルの新築で、客室の水周りの様々な器具を取り付けている。トイレのペーパーホルダーやウォシュレットのリモコン、洗面台のタオル掛けなんて物をインパクトで穴を開けてインパクトでビスを打って取り付けている。今回は衛生の仕事なのかと思っていたが、そもそも今回移ったV社は水道屋なのだとか。だから洗面台の水漏れの対応までやっていて、少し腰が退けている。もっと手元的な作業だと思っていたのだ。まあその内慣れるだろ。
  現場の詰所は、何故か僕たちの机だけが薄暗くなっていて、とてもじゃないが本など読めない。社長は書類を書くために、現場で使うバッテリー式の照明を持ち込んでいる。隣の机の上には照明があるのでそちらの明かりで本を読んでいたが、そうすると僕はV社の机に背を向けて本を読むことになり、なんと言うか来たばっかりで態度の悪い奴にしか見えない。
  と、数日で社長から朝は本を読むなと言われた。朝は打合せの時間と言うことなのだろう。これはゴミ収集の時にも言われた。社長!私の勤務時間は八時からであります!もちろんそんなこと言えない。なので少し現場に着く時間を遅くした。本も読めないのに現場に早くからいる必要なんかない。
  必要があって『天皇家の50年』と言う本を探していたが、ネットでは注文が出来ずどうしようかと思っていた。誰かに頼もうかとも思ったが、神保町に寄ったついでに軍学堂を覗いて見た。三省堂書店のほぼ隣にあり、真隣は三茶書房でここではたまに買うが、三宿にある三茶書房には入ったことはない。名前の通り軍事専門の古本屋だが、他にないくらいに天皇制関係の本が充実しているのだ。もちろん賛成反対問わずである。棚一本丸々天皇制なんて店、見たことがない。ここならあるかもと思ったら、二冊もあった。しかも安い。白井新平の啓衆社版『天皇制を裁く』まで見つけたがこっちはぼろぼろ、手に取ると端から紙が解体してしまう。敗戦直後の紙事情の悪さが偲ばれる。パルプ雑誌か!と突っ込もうとしてむしろ仙花紙かと思い直した。ついつい買ってしまったが、二冊で千円していない。いや流石軍学堂。