茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(554)毎日熱中症

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(554)毎日熱中症
加藤匡通
七月××日(火)
 新しい現場に入った。U社はまた応援だ。僕はその手元として入っている。
 この現場は朝礼が八時四十分過ぎで、現場に八時半に入っても間に合う。僕の自宅から電車で一時間。五時に起きて六時に家を出て六時十四分の電車に乗って、途中でトイレに寄っても八時前に余裕で最寄駅に着く。駅からはすぐなので、連鎖店に入ってコーヒーを飲む時間が充分にある。極端な話、六時に起きて七時に出ても間に合うくらいだ。四時に起きて始発、とは比較にならない。普段の四時半起きと比べたってラクだ。五時起きだと十一時に寝ても六時間眠れる。夢のようだぜ!
 ところが当然いいことばかりのはずがなく、この現場は詰所がない。正しくは、形ばかり用意されてはいるものの人数分に全く足りていない。多分三百人近い作業員の一割分くらいしか詰所はない。足りていない人たちがどうしているのかと言えば、空いているところに座り込んで休憩しているのだ。
 U社は作業場所で休憩している。暑い上に暗くてとても本が読める環境ではない。休憩とは仕事から離れることなので作業の手を止めているだけの時間ではない。職人同士や監督と打合せをする時間でもない。社長が怒鳴ろうとも僕にとって休憩とは本を読む時間である。つまり、本の読めないこの現場では休憩したことにならない。
 さらにこの現場は窓を開けられず、屋内の気温は上がるばかり。扇風機が何台もあるものの、風の届かないところは暑い。U社の作業場所は機械室なので熱気はどこにも抜けない。三十分もいると、比喩でもなんでもなく水浴びでもしたのかって状態になる。扇風機は廻っているが機械に阻まれ風は全体には行き渡らない。どのくらい暑いかと言うと、昼休みに現場の外にでると涼しいと感じるのだ。気温が三十五度を越えた日に。
 なので毎日熱中症寸前である。いや、頭が痛くなることも度々だから熱中症なんだろう。ポカリを一日二リットル飲んでどうにかしのいでいる。
 そして、入って一週間でバラバラだった朝礼は全体朝礼に戻り、八時半となった。これまでは職長だけが八時半からの朝礼に参加して、それを受けて各職の朝礼だったので遅かったのだ。三百人が窓のない一ヵ所に集まるようになった。当然みんな汗だくである。なのに監督は熱中症注意とか言ってる。馬鹿か。