茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(常雇?)(437)「あんたたちすごいよ。けどさ、他にすることないの。」

賃金奴隷な日々  日雇派遣日記(常雇?)(437)「あんたたちすごいよ。けどさ、他にすることないの。」
加藤匡通
五月××日(火)
    最近は現場で休憩中にビラだのの文章を書いている。もちろん詰所で書いているのだ(そーいや詰所を休憩所と言い換えろと言う話はどこへ行ったのだ?)。現場の近くに休憩時間に行けるような喫茶店もないし、何より余裕がなくなっている。帰りはネットカフェに立ち寄って入力にあてたいとなると、現場で書くことになる。自宅のパソコンは調子が安定しないし、昔から文章書きはレジュメも含めて自宅だとまるではかどらない。
    当然、奇異の目でみられる。そもそも詰所で新規入場者教育やKY(危険予知である。小学生レベルだ。)、あるいは図面に書き込みをする以外に何か書き物をしている者なぞいないのだ。この前は読んだ本のレポートを書いているのかと聞かれた。流石に学習会のレジュメは詰所では切らない、いや切れない。ずっと本をめくりながら書くことになって煩わしいし、何だか試験勉強でもしてるみたいで嫌だからだ。なので違うと答えたが、建築現場で原稿用紙に書き物をしている奴など何を書いていようが同じようなもんだろう。ビラや運動の報告を書いていると正直に答えたらドン引きされるとは思うが。件の質問者からは副業と思われたらしい。金は入って来ない、出ていくばっかりだが似たようなもんか。ただ、副業は賃労働の方にしたいな。
    奇異の目で言えば、現場で少女漫画を読んでいても奇異な目で見られる。建築現場ではなぜか漫画の単行本を読んでいる姿を見かけない。しかし現場労働者の多くは少年誌や青年誌は読んでいる。習慣として消費して終わりということだろうか?現場労働者の頭の中は大なり小なりマッチョで、日常会話で辟易することもしばしばだ(僕も他人からはそう見えるのかもしれない。自分の中のマチズモを解体しようと努力しているつもりだが、うまく出来ている自信はない。)。そこへ少女漫画の単行本を読んでいる奴が入ればド変態扱いだ。だが構うものか。
  読んでいたのは市東亮子の『エリュシオン―青宵廻廊ー』。トロイア戦争直前のアマゾーンの話で、面白く読んだが、多分打ち切られたのだろう、話は半分で終わってしまっている。ああ、この続きが読みたい。アマゾーンの国制についても結構描かれていて、そこも興味深い。トロイア戦争は半ば神話と化しているのであまり関心はないんだが、こういう風に扱われると興味も湧く。
 どうも漫画の世界で古代ギリシアはあまり人気がないらしく、ギリシアが舞台の漫画なんて数えるくらいしか浮かばない。ギリシア神話がモチーフ、まで広げれば数は増えるが『聖闘士星矢』に関心はない。(カイザーナックルを巡って龍極破やギャラクティカ・マグナム打ち合うのには付き合えないよ。これは『リンかけ』だけどさ。少年漫画読んでたのこのくらいまでなんだよ。)古代エジプトもそれなりに作品数はあるし、何より古代ローマは大人気だ。しかし何度も言うが僕はギリシアの後継文明としての関心しかローマにはない。世界帝国も征服戦争も、皇帝も元老院もどうでも良い。古代ローマに対しては『岩明均の『ヘウレーカ』にある「あんたたちすごいよ。けどさ、他にすることないの。」と言う言葉が一番しっくり来る。