茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(462)『ようこそ、革命シネマへ』

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(462)『ようこそ、革命シネマへ』
加藤匡通
六月×日(日)

 仕事はやや不安定な状態にある。建築現場では四月から六月は仕事が薄くなる端境期だが、昨年までの長い日雇派遣の間にこの時期本当に仕事に出れなくて困ったことはなかった。なんだかんだ文句を言いながらもそれなりに真面目に働いてはいたので仕事が途切れなかったのだ。しかし今年はゴールデンウィークは大して延びずに済んだものの、ぽつんぽつんと休みが入ってくる。日当は上がったので、ダメージは大きくはないが、ちょっと不安にはなる。

 金曜が休みになり、そのまま土日に入るのかと思っていたら昨日は現場があった。数年前に入っていた現場の隣のビルだ。ああ、ちゃんと動いてるのねと、ほとんどくっついてるビルを見て思ったよ。フロア丸ごと改修工事の残工事というか手直しで、ダクト開口部をふさぐ作業である。見落としたのか、黙ってたのかは知らないが、ダクトの接合部がそのまま口を開けている。元の工事はV社とは関係ない。他所の工事の尻拭いみたいなもんだが、そういうことは言わないようにする。鉄板を切って開口部にあてビス止め、更にテープを巻いて保温材を取り付け網を巻いて終了となる。朝一、担当者は二カ所だけだから午前中で終わりだよと言い、その気になったら監督から何カ所もあると聞かされた。結局一日では終わらず、今日も出ることにした。来週も仕事が薄いと社長に脅されているのだ。幸い用事もなかったし、『戦隊』も『ライダー』も感染症の影響で新作の放送ではなくなっている。代わりに『ひみつ✖戦士 ファントミラージュ!』を見ているけど、これはかなりついていけない。

 で、今日。もしかしたらと思っていたが、やっぱり早上がりだった。昨日の段階で大した量は残ってなかったのだ。よしよし、これで『ようこそ、革命シネマへ』が見れる。

 映画館が再開して、タガが外れたように映画を見に行っている。休みには三本立てを組んでいる。三十年ぶりで『AKIRA』を見たり、『マッドマックス2』を初めて見たりと大騒ぎだ。見損ねると思っていた『PMC ザ・バンカー』は大当たりだった。

 大喜びでユーロスペースに向かった。映画館が閉ざされているスーダンで映画を上映しようとする映画人のドキュメンタリーはこの時期にぴったりの映画だと思う。しかし客は先日同じユーロスペースで見た『許された子どもたち』の半分以下だった。いやこれ今見るべき映画だろ!思い付きとしか思えない政策に振り回されているものの、それでも映画館で映画を見ることが出来るのは幸せなのだなあ。もうちょっといろいろがんばろう。それにしても、スーダンは八十九年からイスラム原理主義軍事独裁政権だったのか。クーデターの記憶なんて全くない。ましてやその独裁政権が去年革命で倒されていたなんて!ああ、僕は世界のことを何も知らないんだなあ。