茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(社員?)(542)宮下パークのCM

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(社員?)(542)宮下パークのCM
加藤匡通
一月×日(水)
    テレビを見ていたら三井不動産が宮下パークのコマーシャルを流していて驚愕した。恥ずかしくないのか?
    宮下パークは以前は宮下公園と言う渋谷区の公園だった。山手線に乗って原宿から渋谷に向かう時に左手に、渋谷駅に入る直前に電車と同じ高さに見えた公園がそれだ。都内屈指の繁華街、それも駅のすぐそばにある公園だったので多くの人に親しまれていた。僕も三十年以上前、よくデートで使っていたが、それはともかく。
    九十年代前半から運動に関わり出してからは何と言ってもデモの出発地点、そして野宿者支援の炊き出しをする場所になった。デートの最中に「なんでああいうことしてるんだろうね。」と冷笑していた自分が、まさか「ああいうことをする側」になろうとは。十代の自分に教えてやりたいよ。だからそうじゃなくて。
 都内の公園がデモに際しての利用が出来ないように変わったのはいつ頃だったろうか。それまでデモの出発解散に使っていた公園が次々に使えなくなって、使えてもデモ出発前の集会が出来ないようになった。だから例えば新宿のデモは、ほぼ駅前のアルタ前広場からの出発になっている。港区など、わざわざ区の職員がデモ解散の公園に、解散時に集会をしていないか確認に来ている。行政にとって運動は目障りなものだが、ここまで正直だと呆れてしまう。
    そうかと思えば、行政の持つ公共施設の命名権を期間限定で私企業に売却するのが流行っている。渋谷公会堂がC.CレモンホールやらLINE CUBU SHIBUYAやらになるやつだ。茨城でも楽天Kドリームスバンク取手とかセキショウウェルビーイング福祉会館とかばんどう太郎 さしま少年自然の家とかいろいろある。それどころか茨城では歩道橋まで売れている。びっくりだ。
 宮下公園の場合は渋谷区が命名権どころか公園丸ごとをナイキに売っ払っている。今の宮下パークはその成れの果てである。パークを名乗り屋上に運動施設はあるものの、警備員が常駐して歩行者(利用者か)を監視している囲い込まれた商業施設は公園とは全く別のものだ。
    渋谷区は駅のすぐそばにデモで使える公園があるのが嫌だったのだろうし、野宿者支援の拠点があるのも嫌だったのだろう。支援の拠点どころか野宿者は宮下公園に住んでいた。公園が工事のために閉鎖されるまでは人が生活する場だったのだ。
    現在渋谷区は宮下公園のすぐ近くの美竹公園から野宿者を追い出そうとしている真っ最中である。そんな時期によくコマーシャルなんぞ流せるものだ。まあ、これまでも多くの人民の血で肥え太ってきた三井財閥としては野宿者がどうなろうが知ったことではないのだろうな。
    渋谷区は同性愛者のパートナーシップ制度にいち早く名乗りを上げて株を上げたが、それは別に人権を擁護したいからではない。人権に配慮した街って顔をしていれば金になるからだ。そうでなければ、むき出しで生存そのものを脅かされている野宿者を公共施設から平気で排除し続けるはずがない。
 渋谷区も三井不動産も恥を知れ!